営業マンと技術者の埋まらない溝

この差は埋まりませんね~多分これからもずっと。
でも確実な事として、日本のような先進国では消費者が成熟してきて、尚且つ製造も平準化してきた為技術者の発言力が弱まっています。

「自分にしかできない仕事」という美徳は間もなく吹っ飛びます。
例えばくまおさんの居る「建築」業界ではとても顕著です。

昔は腕の良い大工は引く手あまたであり、親方は新型が出る度にクラウンを乗り換えるような生活をしていました。それを見た大工見習は自分たちも底を目指し工務店を立ち上げたのです。
ところが、現在は大工が腕を発揮する場面はほとんどなくなりました。工作機械が発展し、木材は現場ではなく工場で加工された状態で現場に運び込まれます。

腕の良い大工よりも、工作機械の方が精密です。
プレハブ系のメーカーはそもそも家を工場で生産し、トレーラーに載せて現場に運び入れます。設置に一定のスキルは必要だとは言え、熟練工は不要です。

一方、セールスは日々競争が強まってます。
日本だけでなく世界各国からライバルが参入し、対面だけでなく紙媒体やインターネットとの競争にもさらされるようになりました。
そんな中で顧客を獲得してくる営業セクションは企業の中では圧倒的な発言力を有します。
「物が足りない」時代は製造者が強くなり、「物が十分に足りている」時代は営業者が強くなります。
今の日本は十分に物が足りている為、営業者の立場が強いという事になります。これは当面変わることはないでしょう。その証拠に日本は長らくデフレです。
商品の価格がどんどん安くなり、クオリティが上昇しました。出始めた頃の100円寿司は美味しくありませんでしたが、今はとても美味しくなりました。

技術者の言い分として、営業側が出来もしない約束を勝手にしてくる為に現場が尻拭いをするというものがあります。
確かにその面は否めません。しかし、競争している相手がいる以上仕方がない事も多いと思います。
そして、営業側から見ると逆の事も起こります。現場側が実地に即して行った変更等を顧客に納得させるという尻拭いです。
ですから、くまおさんから言わせればどっちもどっちです。
そして、仕事がないよりはあった方がマシなので、営業側に軍配が上がります。

営業マンはそれらがお客様に衝撃なく伝わる様に知恵を絞ります。言い方は当然の事、言う場所や、言うタイミング、言う時間等色々と考えたうえで発言の調整をします。
先日くまおさんの会社で、従業員がミスをしました。その結果、ミスをしていない箇所も再検査することになり当社にとってあまり良くない再検査結果が出てしまいました。

くまおさんのお父さんは「技術者」なので、その結果を何のためらいもなく、何のお化粧もせずに提出しようとしています。
そこでくまおさんはその資料を没収し、作り直しお色直ししてから提出しました。お客様側の反感をある程度織り込んだうえで、先回りして謝り対応を取りました。
くまおさんはこの様な尻拭いを日常的に行っています。

先日、くまおさんが社外で仕事をした際にお客様からクレームの電話が入ったとお父さんから連絡がありました。
お父さんの口調としてはかなり大ごとの様な事柄です。しかし、くまおさんはそのお客様とはそもそも大事になるような取引をしていないので疑問でした。
そこで早々に電話し、ヒヤリングしたところ、相手が勝手に怒っているだけで当社側には全く非がない事が早々に分かりました。
お客様もくまおさんの対応でそれに気が付いたらしく、何ら問題なく双方合意の解決策が見つかりました。
帰社した後の会話です。

お父さん
「なんか、すごい怒ってたけど大丈夫だった?」
くまおさん
「別に怒ってないし、何の問題もなかった。」
お父さん
「そうなの?」
くまおさん
「そうだよ。そもそも、うちの商品が気に入らなければ買わなければいいんだし、その様な殿様営業をくまおさんが実施しているのは知っているでしょ?」
お父さん
「知ってる。」
くまおさん
「だから、うちの商品でクレームが起る事は納期間違え以外はほぼ無いと考えて問題ない。だから、いちいち大げさに騒がないでください。」

今回の件は、電話での初動のミスです。

日本は貿易黒字で儲ける国であると小学校の頃に習いました。
ですから円安が望ましく、実際にここ数年で円安に振れたおかげか景気は回復基調です。
でもね・・・これって本当に正しいのかな?日本が弱くなっている気がするのですが・・・