デジャヴ再び

大きな会社から小さな会社に転職するとデジャヴに良く出くわします。
大きな会社でも度々出くわしますが・・・。
以前にこんな記事を書きました。
毎年デジャヴ。バカなウォーターサーバー会社幹部

大きな会社というか、営業会社では皆様経験のある話だと思います。
そして、これとは種類が違うのですが小さい会社では大企業で何度も目にしたことがよく起こります。

くまおさんの会社には出来ない営業マンがいるという話を何度か書いたことがあります。
その為、別の社員にしわ寄せが行っています。くまおさんは出来ない社員への対策の際に、合わせて別社員の対策もしておかないと必ず揉めるからね♪とファーザー(社長)に何度も言ってありました。
ところが、くまおさんの忠告を気にせずに出来ない社員のみに対策を講じてしまいました。
するとどうでしょう・・・1か月も経たないうちにくまおさんのいった通りの問題が発生しました。しわ寄せを受けている社員が不満を言い出したのです。
そして、「仕事が増えたのでパートを雇いたい!」と言い出しました。

これを聞いたくまおさんはこう思いました。
「これは本質的にはパートを雇いたいのではなく、忙しいアピールをする事で遠回しに給料を上げるように要求しているわけだな。」と。
ところがどっこい、社長はパートを雇う事にゴーサインを出したのです。社長からすれば社員の意見に耳を傾けて要求にこたえたという事なのですが、これもこれから先に辿るであろう問題が目に見えます。
本来の芽を摘んでいないので火は消えません。

一応、それに対しても忠告しているのですが、特に対策は行わない様なのでまた3気月後位に揉めると思います。
こういうのはもうホントにウンザリなのでやめて欲しいのですが、何度も繰り返されてしまいます。デジャヴです。

また別件ですが、くまおさんの部署ではくまおさんが年間の予算表を作っています。
今期は、期首の段階で通期の黒字化が見込めた為、給料を上げました。(※予算表はかなりバッファーをみて作ってあるので、おそらく上振れします。)
役員会で決済を取らねばならない事柄なので、幹部達がいちゃもんを付けるであろう項目に対しては、前もって書面で完璧な回答を用意しておきました。
そしてOKだったと社長から聞いたため、給料を実際にあげました。ところが・・・・

「聞いてないぞ~勝手に何やってるんだ~!」とオーナーが言い出したではありませんか。

オーナー曰く聞いていないそうです(笑)書面にがっつり書いてある上に、役員会でも承認が下りている事項に対して何言ってんだ?と思うくまおさんです。
他の役員も口揃えて「聞いてない」という始末。
くまおさんはこういった事を言われる可能性が十分にあると考えていた為、書面にて証拠を残していたので、この事柄に関してはくまおさんが正しいという事になりました。

そこで苦し紛れにオーナーが言い出したことが「給料のバランス」という事です。
この給料のバランスとい言葉は大きな会社に在籍していると度々聞かされます。くまおさんは成果報酬が付与される営業マンだった経験が長いので、成果に対しては成果給を貰えないと我慢できなくなります。ウォーターサーバー会社に在籍し、代理店募集の仕事をしている際にある時から突然成果給がストップしたことがありました。その理由は「他部署との給料バランスを考えなければならないから」

当然、やる気がゼロになりますので部署の営業成績はガンガン落ちます。
上司曰く「会社というのはみんなで運営するものだ。同じ商品を売っているのにある部署だけ給料が高いと言うのは不公平感がある。」と言われました。
くまおさんの頭は?だらけです。そもそも違う仕事をしているわけだし、営業マンなのだから平等なんてものはなく、競争で評価されるのが最も正しく公平だと思っていたからです。
本来出来るであろう数字ががた落ちした際の上司との会話が下記です。

上司
「なあ、どうしたらもっと数字が上がると思う?」
くまおさん
「私にコミッションを出せば上がると思いますよ。」
上司
「・・・・。それは言いっこなしだ。」
くまおさん
「じゃあ難しいでしょうね。」

上司にも上司がいます。その上司にも上司がいるわけであり、それは社長につながったりします。
社長が掲げる方針として、とびぬけた社員ではなく、平均的な社員が平均的に仕事をしてちょっと成果を出しながら数の力で利益を最大化するというのが当時の会社の方針でした。
その方が長期にわたって「ブレ」が少なく、安定すると考えていたようです。
そうハッキリと言われてしまうと、くまおさんはもう反論できません。これはこれで理由がはっきりしているので理解できます。

さて、話を戻してくまおさんの零細企業に関してです。
零細企業でバランスなどと言っていたら会社が潰れます。
明らかに能力差がある場合、給料で差をつけざるを得ないとくまおさんは考えています。また、かなり控えめに見ても現在当社の中で、最も投資効率の良い資産は「くまおさん」です。
会社としてくまおさんに資金投下するのが最もリターンが高いと考えられます。

くまおさんは至極当然の会話をしているつもりです。
ずいぶん昔にヒットしたビジネス書で「ザ・ゴール」という書籍があります。あるつぶれかかった工場の工場長と、学者の話です。学者の「TOC制約条件の理論」を工場長が実践する事で会社の業績が奇跡的に回復するという物語です。この学者が工場長に質問します。

「会社の目的は何だね?」

工場長は迷います。雇用の創出?顧客満足?なんだろう?と。
学者の回答は明快です。

「会社の目的は利益を出すことだ。」

至極真っ当な答えです。ところが、いざ社会人として働いているとこの当然の事を意識している人が、実はとても少ないのだなと気が付かされます。
零細企業において「給料のバランス」などと言いだしたら失速すること間違いなしです。何故なら給料のバランスには「利益を出すこと」に対しての明確な紐づけがなされないからです。
先ほどの例に挙げた大企業の様に「バランス」が利益の増大や維持につながる事もある為、一概に否定はできませんが、零細企業では論外です。

バランスと発言する人は往々にしてスタンスがブレます。
「利益を出すこと」にフォーカスして意思決定すればブレません。必ずしも正しいとは限りませんが、ブレない価値観は企業経営では大切な事です。
よく「社長は孤独だ」と言われます。だから拠り所として神様にすがってみたりするのです。社長室の神棚率が高いのはそういった理由です。
神様も拠り所の一つですし、ブレない指針も拠り所になります。
零細企業では「利益を出すこと」にフォーカースして話をすることが最も正義だと、くまおさんは考えています。だって、他に明確な拠り所ないもん。
実はバランスなどというものは最もバランスしません。その時のその中心人物の「なんとなく」の産物以外の何物でもないからです。

「くまおさんのいう事は正しいけれど、正しければいいってもんじゃない!」とよく言われます。
でも、正しいかどうかすら分からず、曖昧でブレブレなデジャヴよりよっぽどマシだと思いますし、何より時間は有限です。デジャヴに何度も付き合うのは単純に嫌です。

ビジネスは選択の連続です。ベストな選択を連続する事は至難の技であり、ベターな選択を、いかにスピーディにこなしてゆくかが大切です。ベストにこだわり過ぎて、チャンスが通り過ぎてゆく事を多くの人は何度も経験しているはずです。
チャンスの女神には前髪しかありません。通り過ぎたら掴む事は出来ません。

会社の目的は利益を出すことであって、それた議論をしているのであれば、そんな議論は無駄だと本気で思っています。
[1+1=2]という当たり前の問いに対して、何故2なのだろう?とか、実は3なのでは?とか、いや発見されていないだけで0かもしれないという無意味な議論を永遠に続けることは無駄以外の何ものでもありません。

デジャヴの話に戻すと、零細企業では大企業では当たり前の失敗事例を経験していない事が多々あります。
事業規模が小さいので出くわす失敗事例が少ないからです。失敗事例の中には前述した[1+1=2]の様な、とても単純な問題も沢山あります。残念ながら、多くの失敗事象は前例に従ってしまいます。
しかし、零細企業では知見が少ない為に無意味な議論が続き、結局失敗するという事が良く起こります。これがデジャヴです。「だからあの時言ったじゃん!」という事が本当にたくさん起こります。

くまおさんが今の会社に入ってから、くまおさんの部署の売り上げは上昇傾向です。(くまおさんとお父さんしかいません※外注は沢山いますが。)
また、新規事業での売り上げも計上され前途洋洋です。
その為、くまおさんの登場により会社内のパワーバランスが崩れました。それと引き換えに会社が大きくなるチャンスの時が来ています。
この様な革命期には血が流れます。革命に流血はつきものです。これは歴史が証明しています。
生き馬の目を抜く現代において、穏やかな世代交代は滅多に起こりません。

これは戦国時代でも同じです。
信長は秀吉に自分の弟を託しました。秀吉はその弟を討って天下人になります。秀吉は、家康に自分の息子を託しました。家康は息子に継がせることはなく自身が天下人となりました。

なぜ、自分の場合だけ違うと思うのでしょうか?
人間は誰しも自分だけは特別だと思いたいのだと思います。くまおさんも同じです。だからこそ歴史に学び足元をすくわれない様に日々一生懸命過ごすのだと思います。

大企業は洗練されているけれどもチャンスが少ない。零細企業はデジャブだらけで大変だけどチャンスが多い。
そんなところでしょうか。くまおさんはチャンスを選ぶことにします。