HD-28(Martin 1980年製)くまおさんギター

ど真ん中のギターがやってきました。ミリ単位でど真ん中からはズレるかも知れないけれどもほぼど真ん中。キングオブアコギ。

マーティンHD-28(1980年製)です!そうニッパチの本物です。
厳密にいうと1976年から製造されたD-28のブレーシングを薄くして鳴りを良くし、バインディングにヘリンボーンという、戦前マーティンに採用されていた装飾を再現したモデルです。だから・・・レギュラーラインに比べると若干高いのかな?よく分からない。

良く詰まった良質のスプールス単板に、サイドバックはローズウッド。当然単板。


あとマーティンといえばこのボリュートね。

ペグはマーティン専用のもの?シャーラー製かな?これもよく分からん。バックの装飾も通常ラインとは異なります。

くまおさんが今までの人生で手にした中で最も高価なギターです。
当時の値段は分かりませんが、現在の同じラインで40万円、中古でも20~30万円位の高級ギターです。

なぜこんな高級ギターがくまおさんの元にやって来たのかと言うと、弟の奥さんのおじさま(くまおさんからするとあかの他人)が蔵にしまい込んで使っていないらしいという情報を聞き、弟経由で借りてもらったのです。
弟はギター、ベースマニアです。

くまおさん
「マーティンは一回弾いてみたいんだよね~弾いたことないから。」

「そういえば嫁のおじさんが弾いていないマーティン持ってるらしいよ。」
くまおさん
「マジでか!それ借りてこい!」

「イエス・サー!」

おじさまは全く弾いていなかったらしく、すんなりと貸してくれたとの事。
ご丁寧に交換用の弦までくれたらしい。この気持ちはちょっとわかる。
リッケンバッカーを実家の押し入れに10年間しまい込んでいたくまおさんは、ある時弟から言われました。


「リッケン使っていい?」
くまおさん
「おう、どんどん使ってくれ。というかケースから出して家に持って帰ってほしい。むしろどんどん弾いていてほしい。」

高級ギターを押し入れにしまい込んでいた経験があるくまおさんは、上記の様に思っていました。ギターは定期的に手に取っていないとネックの反りや塗装の異変に気が付きにくいものです。そして高級ギターは放置しているとロクなことがありません。ですから、弾いてくれるなら是非弾いてもらいたいと考えるのです。
いつかは分からないけれども迎えに行くその日まで元気にやってろよ。という親心です。

そんな経緯で我が家にやって来たマーティンですが、少し観察して気が付きました。

弦高が高い。6弦側で4㎜以上あります。
弦を外してボディを乾拭きしてから弦を張りなおしてもやはり同じです。
実際に弾いてみたところ、弦高が高すぎてとても弾きにくいギターでした。弦高の影響なのか音も・・・感動はしない。

そこでネックの反りを疑ったのですが、金属定規を当てたところ、反っていない。
じゃあ元起きか?と観察したのですが、おそらく元起きは起こっていません。さらに観察しているとブリッジ下ボディが膨らんでいます。弦のテンションに耐え切れずにトップ板が膨らんでしまっています。これが原因の弦高です。(※多分)ブリッジも若干剥がれてるのかな~?

これだから高いギターは面倒くさい。くまおさん所有の安い合板ギターは1970年代物でもトップのふくらみやネックの反りはありません。

合板ギター頑丈、万歳!

高級ギターは単板なので、そもそも強度が低い上に、hd-28はブレーシングを削り込んであるので更に弱いのかも。

これじゃあマーティンを堪能できないな~と弟と話をしていて、リペアに出すべきかという話になりました。くまおさんの町にはギターリペア工房が複数あり、弟はその全てに出入りをしている為、マーティンの修理が得意な工房も分かるとの事。


「せっかくだから直したいよね。」
くまおさん
「確かにそうだよな。このままだと多分弾かない。」

「いくらだったら直す?」
くまおさん
「自分のギターだったら直すんだけどな・・・。くまおさんのギターじゃないし。1万円位だったら直すけど、マーチンのボディ修理がそんな値段で出来るとは思えないし。」

「そうだよね~。一応工房に確認しておくわ。」

という事で保留です。
マーティンのボディやブリッジをいじったら数万円は軽く吹っ飛びます。くまおさんの保有しているその他アコギは1万円位の中古ばかり。一番高価なアコギでも4万円です。
数万円あったらそれなりのギターが購入できてしまうので、そこまでして直したいとも思わないのです。

だって、自分のギターじゃないんだもん。

左側はくまおさんカスタムD-28レプリカ。本物と比べるとラッカー塗装は味がありますね。弾きこんでゆけば素晴らしいエイジングを見せると思います。