目標設定って必要かな?

昔から違和感があります。

「目標を掲げろ!」

確かに目標があった方が道筋がはっきりしますし、それを達成するための方法を考えやすいとも言えます。しかし、現在の社会では目標を立てることそれ自体が目的になってしまい、本来の意味なしていない事が多い様に感じます。

今から記載する内容は、ある程度仕事ができる人に対しての問いかけです。仕事が出来ない人は周囲にガチガチに固められた道がある方が楽です。

くまおさんはずっと営業マンですが、営業マンの数字目標の立て方は決まっています。会社のトップが決めた数字が順々におりてきて、過去実績をもとに割り振られ自分の持ち分が決まります。大元をたどれば株主のご機嫌伺という事になります。小さい会社でも一緒です。社長が株主です。

多くの場合でその数字は自発的に発生したものではありません。しかしおりてきてしまった以上、自分の数字として捉えざるを得ざるを得ない空気が醸成され、いつしかまるで自分が発言した数字の様に独り歩きを始めます。

上司
「お前が設定した数字だろ!なんで達成できないんだ!」
部下
「・・・心の声・・・いや、別に俺が決めたわけじゃねえし・・・。」

こんな光景をよく見てきましたし、体験もしてきました。

営業会社の場合、昨年対比で110%とか120%という目標設定を義務付けられます。一般的な社会常識では「人は成長する」という事になっているので、昨年よりも数字が悪いという事は受け入れられないのです。ところがくまおさんが常々提唱しているように「営業マンは育たない」というのが現実なので、本当の意味では目標と現実がリンクしていません。

ずいぶん昔に、「夢に日付を」というワタミの渡邊創業者が書いた本がビジネスマンの間で爆発的にヒットしました。今思えばあれは成功者バイアスの最たるものだと思います。
同じように夢に日付を付けたけれども、成功しなかった数々のチャレンジャーたちの失敗履歴は残っていません。要するに、「夢に日付を付けるくらい具体的に行動できる渡邊さんだから成功者になれた」という話だと思います。

「トイレをきれいに掃除すると会社の業績が向上する」という都市伝説が定期的に浮上します。「トイレの神様」なんていう歌もヒットしました。これもトイレをきれいするから商品やサービスが売れたり、美人になったりするわけではなく、トイレにまで気を配れるくらい思慮深かったり余裕がある人だから、会社の業績をUPさせることが出来たり、美人だったりするのだと思います。

ですから、夢に日付を入れようが、トイレを掃除しようが、駄目な奴はだめです。そもそも、そういう問題ではないからです。

孫正義の人生計画も有名です。しかし、常人が孫正義の真似をすることが本当に正しいのでしょうか?ビジネスはスポーツや芸術に比べれば再現性は高いと思いますが、それでも出来ない事は存在しますよね?明らかに出来ない事にチャレンジするのは多くの場合で「バカ」と言われます。でもその「バカ」が大成功を収めるのも事実です。ここが難しい。

でも、信長だって秀吉だって、家康だって毎回毎回命を懸けた戦をしていたわけではありません。ここぞという時にだけ命を懸けた戦に出るのです。それが桶狭間であり関ケ原です。毎回命を懸けていたらいくつあっても足りません。毎回命を懸けて名をあげる前に討ち死にした武将は沢山いるはずです。これも成功者バイアスです。

多くの営業会社で掲げさせられる目標は、多くの場合で未達になります。もはや目標を立てる事それ自体が目的になっています。これって意味ないですよね?

くまおさんが現在取り組んでいる仕事の一つに化学品事業があります。
この事業に関して目標なんて全く立てられません。業種的には、当たれば何千億円の事業規模ですが売れなければゼロです。ブルーオーシャンなので先人がおらず皆目数字の見当がつきません。

仕方がないので、くまおさんは過去3年間ひたすら種をまき続けました。昨年から何とか刈取り作業に入る事が出来ましたが、こんなものは「運が良かった」以外の何ものでもありません。確かに運をつかむために様々な対策をしたり、ステマをしたり、餌をまいたり、色々と情報整理をしました。しかしその時点では何があたるかなど全く分からないまま手を出していただけです。それがたまたま当たっただけなので、数字目標など経ちません。

数字目標を掲げられるのは、ある程度こなれてきた商品だけではないかと最近は考えています。全く先人のいない事業の場合数字目標を立てることは無理だし、現実との乖離が激しすぎて全く意味を成しません。それでも都度修正すればいいという人もいますが、修正で何とかなるのは、ある程度見込みが立っている場合だけです。

半年前に立てた売上見込み表を見返してみたところ、現在とは全く異なっており、この事業に関しては見込み表が全く意味がない事を証明していました(笑)

という事で、くまおさんは来年も数字目標掲げずに事業を拡大させます。
それでも伸びる事業は伸びます。だから、それはそれでありだと思う。

ただし、仕事が出来ない人は拠り所として何かしらの数字を掲げないとサボっちゃうので気を付けてください。