成功者バイアス・生存バイアス

最近知った言葉で生存バイアスと言うものが有ります。

生存バイアス(Survivorship bias)とは、生存した物のみを基準とすることで誤った判断を行ってしまうことで、生存者バイアス、成功者バイアスなどとも言われます。

「本当だったらデータが偏っているけれど、生存者だけしか調べていないことで統計的な偏りが出てしまった」という現象のことを生存バイアスといいます。生き残った人のみのデータであり、敗者のデータは評価されません。

「死ぬほど頑張ってみろよ!死なないから。」

みたいな事を言う人がいますが、それは頑張って生き残った人が発言しているので本当に死ぬ人のデータは入り込んできません。実際には仕事を頑張りすぎて死んでしまう人もいます。でもそんな彼ら彼女らは発言できません。
敗者を無視し勝者のみを評価する隔たりと言えるでしょう。

本田圭佑氏がこんなツイートをして大炎上しました。

「他人のせいにするな! 政治のせいにするな!! 生きてることに感謝し、両親に感謝しないといけない。今やってることが嫌ならやめればいいから。成功に囚われるな! 成長に囚われろ!」

その後、公式サイトで言葉足らずだったとして謝罪しています。
他人のせいにするなと言うのは言い換えれば「全て自分が悪い」という事になるので詰んじゃいますよね。

くまおさんは現在の仕事環境の中だと仕事が出来る方に分類されます。その為、仕事が出来ない人は努力が足りないと思ってしまうことが有ります。しかしこの生存者バイアスという言葉を知り考え方を少し改めています。

くまおさんは新卒時にブラック企業に就職しました。トップセールスとして生き残ったのですが、この言葉を知るまで「あんなつらい状況を乗り越えてきたからこそ今がある。厳しい営業指導も場合によっては必要だ」と考えていました。
でもこれって、過去の自分を洗脳しているだけなのかもしれないと思い始めています。くまおさんはブラック企業でも勝ち抜け出来たので、成功体験として語れますが、そこには志半ばで辞めていった人のデータは入ってません。

これも生存バイアス。

「最近の子供は軟弱だ! 昔はこんなに弱い子供はいなかった!」

昔は弱い子供は死んでいました。現代は医療技術が向上し、昔だったら死んでしまうような子供でも生き残れるようになっただけです。 また、似たようなロジックで、「昔はアレルギーにかかった子供なんていなかった! だからこれは子供が軟弱になった証拠だ!」と主張する人がいます。これも生存バイアスのなす錯覚です。 昔は、アレルギーにかかった子供は、なすすべがなく死んでしまいました。特に、アレルギーについては昔は認識が広まらなかったので、死んだとしても死因は特定できなかったでしょう。まさに生存バイアスです。

最近の若者は・・・とか、今の社会には希望がない・・・とか、昔の先生は・・・とか。沢山あるわけです。
あくまでも生き残った側の言い分で生き残らなかったものは歴史に記されないので、そもそも居なかった事になってしまいます。

昔の若者だって同しようもないクズも居ますし、むしろ今の若者のほうが世界で活躍する人は多いです。
社会に希望があった時代を生きてきた人が社会を作っているので、当時希望がなかった人は現在ではあまり発言できる立場にありません。
昔の先生だって変なやつは大量に居たはずです。バレていないだけです。

とまあ、言われてみるとそうだな〜と感じることが多いですよね。
くまおさんの仕事環境でも生存バイアスがかかっていると思います。「なんで出来ないのだろう?」「どうして気が付かないのだろう?」「なぜ努力しないのだろう?」等感じてしまいことも多いです。でも、これが生存バイアスなんですね。