思考の深さ

小さい会社で働いて分かったことがあります。

「やっぱり大きな会社って何かと優れている」

くまおさんは新卒で入社した会社から、転職する度に会社が大きくなってゆきました。直近で在籍していたのがウォーターサーバー本部であり、様々な指標から新聞などの分類では「大企業」という扱いになるような会社です。

その中に在籍している頃は気が付かなかったのですが、やはり大企業はそれなりのノウハウを蓄積しているとしみじみ感じます。例えば給料体系。その他にも取引先の与信管理や広告宣伝、製造、法務等々様々な課題に対しての経験が豊富です。
何か新しい事を始める際に、それらの土台があるという事はとても有利だな~と会社を辞めてからつくづく感じています。

くまおさんの会社でも定期的に会議を行います。会議での議題は数字の報告、確認と新規顧客の開拓です。これはどんな会社でも大体同じだと思います。くまおさん以外のメンバーは基本的に大企業に勤めたことのない人たちです。

その会議で出てくる話は大体の場合で、くまおさんが今まで在籍してきた会社の会議で出てきたことのある議題です。そして、それに対しての対策やチャレンジ、成功事例、失敗事例を経験、体験、実行したことがあるものがほとんどです。
おそらく、大企業であれば多くの人が体験したことがある施策の場合、実行前にNGが出て実現しないと思います。
しかし中小零細企業の場合、経験値が無いので無謀にも実行されたりします。

これらを逆説的にい捉える人も多いのですが、実際には経験上上手くいったことがない事は、再実施しても大体うまくゆきません。お世話になっていた社長に耳にタコができるほど言われたことがあります。

「人間バカはふた通り。一つ目のバカは同じ事をして同じ失敗を繰り返すバカ、二つ目のバカは同じ事をして違う結果を出そうとするバカ。」

多くの場合で二つ目のバカに該当します。
書籍などを読んでいると、「経験値でものを語ってアイデアを否定する人がいる」という事を悪の様に語るものもありますが、やっぱり経験値で上手くゆかないと判断した事は結構な確率で上手くゆきません。

くまおさんは現在その様な状況に置かれています。基本的に会議で新しいアイデアが出て来ることはほぼ無いのですが、例えばくまおさんがアイデアを出した際に付随で他のメンバーがアイデアを出すことがあります。しかし、それらはくまおさんが過去の経験で失敗経験のあるものが今のところ100%です。やる人が変われば結果も変わるかもしれないという意見があるのも重々承知していますが、それを実行するのはくまおさんなので「嫌」です。失敗確率の高い事をやりたくはありません。

その為、くまおさんがそれらは「上手くゆかない」と説明すると、くまおさんが何でも否定すると思われたりします。他のメンバーはそれらの失敗事例を知らないので全く新しい案だと思っているのですが、くまおさんからすると何度も見てきた使い古された案だったりするのです。

だって失敗のデジャヴなんだもん・・・

この様な面からも、大企業には多くの人がいて多くの失敗データの蓄積があるので侮れません。パターン化している失敗というものも沢山あります。

くまおさんの会社であるアイデアが出された時に、くまおさんは過去事例から様々な躓きポイントが思い浮かびます。ちょっと考えれば分かる事だと思うのですが、他のメンバーは思考が浅く、そこまでたどり着いてくれません。

くまおさんが参加していない会議等で決まったアイデアが穴だらけだったという事はよくあり、結局その穴を塞ぐのがくまおさんの仕事だったりします。何で会議の時に気が付かなかったのだろうかと本気で不思議なので、聞いたことがあります。


くまおさん
「あのさ、あのアイデアだと〇〇の問題が100%起こるよね?そうすると〇〇になるけど、そこはどうするの?誰も気が付かなかったの?」
ファーザー
「気が付かなかった・・・」

本当に気が付かなかったとの事でした。これをくまおさんは思考が浅いと呼んでいます。現在、弊社は仕事が出来ない赤字社員問題で辟易しています。零細企業だと赤字社員が存在すると会社の存続に関わります。大企業に勤めたことがある人ならわかると思いますが、絶望的に仕事が出来ない人というのは一定数存在します。誤解を恐れず申し上げれば多分大人の発達障害を抱えている人が一定数いるからだと思います。
社会全体で支えなければならない問題だとは思いますし、適材適所なのも分かります。しかし、現実問題として零細企業では部署替えする部署自体が存在しなかったりするので、実現不可能な問題です。

働き方改革というのは分からなくないのですが・・・・ない袖は振れぬという事で零細企業ではそれらの人を雇い続ける体力がありません。会社が無くなってしまえば本末転倒です。

零細企業ではそういった人に出会ったことがないまま何十年も会社を運営している場合があります。人数が少ないので確率的に今まで出会わなかったという事です。
そうなると対処でてんやわんやになります。そしてそういった場合に部分最適化(例えば解雇、仕事量の軽減)をしようとすると別の所にひずみがでて、他の社員が辞めてしまう事も懸念されます。
ところが・・・弊社のメンバーは思考が深くないので、他の社員への悪影響に関して思考が届かなかったらしく、くまおさんが指摘して初めて気が付いたようでした。くまおさんからすれば当たり前に想定できる範囲内だと思うのですが、ここでも思考の深さのに関して差が出ました。

なんだか、くまおさんがすごく嫌なやつの様な記事ですが、同じような居心地の悪さや周りの環境に違和感を感じている人って意外と多いはずです。

失敗するのが分かっているの何で実行するのだろう?と本気で疑問に思う事が多々あります。そしてその失敗の尻拭いが自分に降りかかってくると分かれば前もって停止させたい気持ちもよく分かります。でも周りから見ると「アイデアを否定する奴」扱いされたりします。これも居心地が悪いですよね。まあ、同時にアイデアをどんどん出せばいいのですが・・・