勉強をさぼった人は困っていることにすら気が付けないという身もふたもない話

下記は楽天カードの記事ページより拝借しました。「勉強すると選択肢の幅が広がるよ」と高校受験の息子に話していることをやや反省。単純に「勉強しないと損するよ」と教えればよかったかもしれません。行動経済学の観点から考えても快楽の獲得よりも、不快の除去の方が動機として強い事が証明されています。

ただ、稼ぎがよければ当然支出も多くなるので生活の満足度という点では必ずしも良いかどうかはわかりません。例えば、高所得者に紛れれば、チープなカシオの時計をつけて出勤すると劣等感につながるでしょう。目の前の同僚がロレックスを身に着けていれば、当然欲しくなります。そこで、「手に入れたいものが手に入らない」ストレスを抱えます。一方、派遣工場で働いていれば同僚がロレックスを身に着けていることはほぼないので、そもそも存在すら認識しませんから、欲しくなりようがありません。故に時計に関するストレスはなく、そのための出費もありません。ですから、賃金と生活環境のバランスが幸せを決めるという事は間違いがなさそうです。

とは言え、やはり一定期間勉学に励んだという事がないというのは現代の社会においてかなり不利な状況を生むなという事を日々目の当たりにしています。

くまおさんはお父さんと一緒に仕事をしているのですが、このお父さんは工業高校卒業で、その後建築会社に就職し、難関国家資格を有しています。しかし、俗にいう「勉強」という事をあまりしてこない人生を歩んできました。その為、受験勉強で1日10時間みたいな事を肌感覚として理解できません。また、定期テストの為に勉強したり、塾に通って詰め込まれるといった事が理解できず、それは無駄であり、詰め込み教育は考える力を阻害すると考えている典型的な昭和頑固おやじです。

お父さんは「勉強が出来なくても困ったことはない」と考えています。これはある意味正しいです。しかし実は「勉強できなくて困ったことを認識する知識がない。」という事に気が付いていないだけです。これはこれで幸せだし、本人が気が付いていないのだから別にいいじゃないかという見方もできます。

先日こんなことがありました。

建築の仕事でレーザーレベルという計器を使用しています。

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床水平を測るために使用しており、水平ラインと垂直ラインのレーザーを壁に投影する機能がある計測器です。そのスイッチに「H」と「V」という表記があります。これはおそらくHが水平(ホライズン)、Vが垂直(バーチカル)の略語だと推測されます。お父さんは英語の勉強が工業高校でストップしている為、この単語が記憶にありません。きっと勉強はしているはずなのですが、継続的に英語を勉強してくる環境ではなかったので、記憶の片隅にすら残っていないのです。その為、どちらが水平で、どちらが垂直なのかを覚えることがいつまで経っても難しいようです。くまおさんは上記の内容からヒントを導き出せるので、特に不便なく利用できます。

お父さんは建築の分野では一定の経験を有しているので、建築会社向けのコンサルタント業務を行っています。顧客との間に外部の営業マンが入るのですが、この営業マンは一般的な大卒のビジネスマンです。その為、ビジネス英語を多用します。例えば「顧客はOJTを希望しています。」と言ってきますが、お父さんは意味が全く分かりません。そこで、「オンザジョブトレーニング 」の略語だよとくまおさんが教えますが、それでもわかりません。job(ジョブ)ってわかる?と質問しても「わからない」と言われます。そんな言葉は聞いたことがないと真顔で言います。でもそれは嘘です。ジョブという言葉は現在日常に溢れています。そして高校英語で習っているはずです。勉強してこなかったので、それが高校時代に定着せず、その結果街中やTV、雑誌、ネットで見かけてもスルーし続けてきた結果です。

これはが日常だとすると、お父さんが見えている世界は「わからないことだらけ」であり、わからないこと過ぎてそもそも気にもならないというカオスです。

くまおさんはお父さんへ届くビジネスメールをすべて検閲しています。その理由は「信用できないから」です。お父さんは一般的な事務スキルが極めて低いのでそのまま放置すると問題が多発します。その為、くまおさんがメールを確認することでフォローしています。先日、検閲中にメールの未達がある事がわかりました。そこでお父さんに「〇〇さん宛てのメール届いていないようだけど確認してる?」と聞いたところ「え、なにそれ?」と言われました。

「Undelivered Mail Returned to Sender」というメールが届いていたのですが、お父さんはこれをスパムだと思い直ちにゴミ箱に捨て、何の疑問も持ちませんでした。ここには大きく分けて3つの問題があります。

①お父さんはかれこれ20年くらいメールの送受信をしており、今までもさんざんこのタイトルのメールを受け取っている。しかし、このメールの意味をいまだに理解していない。

②英語の基本的な知識がない為、「アンデリバード」「リターンド」といった英語に反応できない

③相手方の問題:建築関係者は基本的にメールの返信をしない。その為、届いていないことを認識できない。また「納期」のモラルが低く、相手側から納期を確認してくる事がない為、遅れている事すら気にかけず、届かなくても誰も何も言わない。

そして、そもそもの基礎知識が無い為これらをその場で教えても、もう手遅れでこれから何かを学ぶという事は難しいです。老いたる犬に新しい芸を教えることはできない。なお、今回が初めてではなく数えきれないほど繰り返されてきた問題です。大学受験くらいの知識があれば「un:アン」と付くと逆の意味になり、「デリバード」がデリバリーの意味だとリンクできるはずです。じゃあ届かなかったんだなと理解できそうな気がしますが、世間一般ではどうなのでしょうか?

さて、とは言ってもこれはこれでもう仕方がないので、お父さんを訓練する必要性はあまり感じておらず、くまおさんがフォローして何とかしようと思っています。ただ、やはりこの経験は今後に生かしたり、同じような方々を対象としたビジネスのアイデアに使用したり、子供の教育に活用しようと考えています。

ここで一番の問題は「お父さんに困り感がない」という事です。お父さん本人は何も困っていないのです。それ自体は本人が幸せなら構わないのですが、第三者としては「知らずに損をしたり、手間が増えていることが多いんだな。仕事するの大変だろうなぁ。同じ仕事でも倍の時間かかるなぁ。」と思うわけです。しかし本人はそれが当たり前なので何の疑問も持っていません。

そして、そこには「日本人としての基礎的な学力」というものが越えられない壁として横たわっていて、その基本的な学力がない人は、その事象に気が付くことすらできないという残酷な現実があるわけです。だからお父さんはいまだに「詰め込み教育」は良くないという割に、その代案は提示できません。

日本のビジネスシステムは業界にもよるとは思いますが、偏差値50くらいを基準に整備されていて、公共インフラは35~45くらいで整備されている気がしています。となると、英語偏差値が35を下回るとかなり厳しいですね。

前述の通り、お父さんは工業高校卒業です。その為勉強するという概念を持っていません。先日、長男の受験勉強の話になり「お父さんは受験勉強したことないから分からないかもしれないが、1日10時間の勉強は普通だ」という話になりました。すると、自分の高校は県下ではそれなりの学校で、自分も勉強してきたというではありませんか。そこで下記質問をしました。

「同級生に暴走族っていた?」

「ああ、いた。」

チーン・・・。暴走族がいる学校で勉強が盛んなわけが無い。話の辻褄が全くあっていない事に気が付いていないのか、そもそも、勉強したという事のハードルが極めて低いのか、「勉強する」という事の概念が大卒とは全く異なるのだと感じました。東大生の勉強時間を知ったら失神してしまうのではないでしょうか。

これらの建築業界向けのITサービスの展開を準備中です。誤解を恐れず申し上げれば、学力知力の足りない人々でも抵抗感なく導入できる建設業界のデジタル化を目指しています。というよりも、彼らには新しいものだと認識させてはダメであり、気が付かないうちに浸透させるくらいのものでないと無理でしょう。建築業界のどんぶり勘定は、間違いなく金の生る木だし、とにかくすそ野が広いです。また、すでに先行しているIT技術者たちは勉強のできる人が多いので、建築業界のリテラシーの低さを肌感覚として理解している人は極めて少ないはずです。勉強できる人は親の代からそれなりの家庭で育っているので、親族や友人関係もそれなりに優秀な人が多いと言えます。

これと同じようなことをウォーターサーバー業界にいた際にも考えていた記憶が蘇ってきた今日この頃。

くまおさんは建築業界で仕事をしていて、関わる人々のレベルの低さに日々ウンザリしているのですが、そこでデジタル化で解決したいと考えています。その為には彼らの特性や思考回路を理解する必要があり、そういった面ではくまおさんはだいぶ有利なのではないかと考えています。