モーリスW-20のチューンアップ

おそらく1970年代だと思われるモーリスW-20というギターを改造しました。
元々は祖父が中古で買ってきた安いギターで、オール合板、当時定価2万円です。
15年くらい倉庫に放置してあった為、3年ほど前に一旦外せるものは外して再セッティングしたところ問題なく使用できたため、BBQイベント等の屋外ギターとしていました。

ただ、他にもギターがありあまりこのギターに手が出なくなっていたので、「これって少しいじったら音良くなるんじゃないかな?」と思い、弦交換のついでにチューンナップした訳です。

キクタニのオープンバックペグ、モーリス純正のサドルとナット(TUSQ)、SCUDのエボニーピンです。トータルで4,500円位です。W-20は中古でも安いギターなのであまり高価な部品は付けられません。

まず、ナットを外したところ下部の木材がベリッと剥がれて、ナット自体が軽くかけて本体に残りました・・・


そしてモーリス純正ナットを確認すると・・・形が違う。W-20 は断面が平らですが、純正ナットは斜めになっています。古いから違うのかも。ただ、モーリスのナットの形って少々特殊なのか末広がりの様になっているので一般的なマーチンのナットでは適合できない気がします。

仕方が無いのでひたすらやり掛けして高さ調整をします。ナット調整は初めてなのでよく分かりません。
次にサドルです。こいつは、長さも違えば厚みも違います。そう、全然違う!

元々使っていたサドルの底面ガタガタだなと気が付きました。プラスチック製です。
こちらも仕方が無いのでひたすらヤスリ掛けして調整します。長さが2ミリ足らないのは無視します。とても大変です。

前々から気になっていたのがこの安っぽいブリッジ黒塗装です。おそらくマーチンD-28にあこがれてエボニーの黒を真似たと思うのですが、すごくダサい。240番のヤスリでこすってみました。

結構簡単に剥がれました。当時のカタログを調べるとブリッジはローズウッドと表記してあるのですが木目的にはマホガニーっぽいです。W-20はネックとサイドバックがナトーというマホガニー代替材を使用していますので、このブリッジも多分ナトーです。

適切な楽器用塗料を持っていなかったので蜜蠟を塗りました。色が濃くなり油分が入りしっとりとしていい感じです。想像より赤かったので若干に会わない感じがしますが、いつかピックガードをべっ甲柄に変えようと思っているので、それには似合いそうです。

次はペグの交換です。キクタニのペグを購入したのですがブッシュのサイズが異なりました。右の大きい方がオリジナルです。その為ブッシュはオリジナルを再利用することにしました。ポールの長さや径は特に問題ありません。


ネジ穴はタイトボンドと爪楊枝で埋めてカッターで整えました。以前にストラトのペグを好感した際に下穴を開けずに付けようとしたところ、イモネジが折れて大変な目にあいました。今回下穴をあけて慎重に作業します。

オープンバックカッコいいですね!ヴィンテージ感が出ます。キクタニのペグは安いですがいい感じです。全く問題ない。この時代の安価ギターの国産ペグってペラペラでともて頼りないんですよね。一方こちらは超がっちり。

何だかんだでサドルとナットが付きました。この段階で12フレット6弦弦高が3.3㎜ほどあったのでその後さらにナットとサドルを調整して12フレット6弦側2.7㎜、1弦側2.2㎜まで下げました。まだ下がりそうなので次回の弦交換の際に2.4㎜くらいまで下げようと思います。


でね・・・このサドルオクターブチューニングが合わないんですよ。元々付いていたサドルは特にピッチ調整のないタイプのもので、そのサドルで大体ピッチがあっていました。そこに調整タイプのサドルを付けてしまった為、1弦がシャープします。それと4弦もなぜかシャープします。
素直にマーチンタイプのサドルにすればよかったと若干後悔です。まあ、つま弾くだけのギターなのであまり気にしないことにします。そしてたぶん誰も気が付きません。
このギターは屋外BBQで使うので結構多くの人が弾きます。でも誰もそんな細かい事は気にしないでしょう。

多分所有者のくまおさん以外誰も気が付きませんが、雰囲気が結構変わりました。

 

ネックがミドルフレットあたりまで極わずかに順ぞりで、そこからストレート、もしくはこちらもわずかに腰折れ気味かな?トップ落ちはありません。くまおさんの知識だとこのくらいの診断と調整が限界です。

プロに調整を依頼すればもっとよくなる気もしますが、弾いていて弾きにくさや音が出ない等の不具合は一切ないので問題ありません。

それにしても古い日本製アコギって頑丈ですね。合板だからっていう事もあると思いますが、マーチンだったら多分壊れてますね。

W-20は昔のマーチンコピーなのでネックは太く引きやすくはありません。ただこれは慣れの問題だと思います。くまおさんのその他所有ギターはエピフォンのナローネック(ナット幅39㎜)2本と、テイラーなので細かったり、薄かったりするので余計にそう感じます。

肝心の音ですが、サスティーンが伸びた気がします。エボニーピンもTUSQにするともっと伸びるかもしれません。今までは全てプラスチックだった上に、サドル底面も凸凹だったので、そりゃあ変わるよねと。

1.2.3弦のキラキラ感が増しました。ただ、ドレッドノートの特性かもしれないのですが、指引きだとどうしても音はこもった感じになります。

以前に所有していたGUILD OM-240Eは指引きでも、結構サクサクとした音が好みでした。新品で28,800円で手に入れてお得だったのですが、手放してしまってちょっと後悔しています。中国製のサイドバック合板ですが良いギターでした。

今回、この様にアコギをいじっていて、アコギってサイドバックの単盤合板とか、ローズ、マホとか、生産国といったスペックよりも、ナット、サドル、ブリッジ、ペグの最適化とか調整具合の方が音に対する影響が明らかに大きいのではないかと思いました。

高価なギターはそれらが調整済みという前提での、音比較だったり鳴り比較だったりするとは思うのですが、例えば3~5万円位のアコギでも1万円位かけて調整、部品交換するとブラインドテストでは聞き分けられないだろうな~と思います。

でもねアコギっていうのはロマンとストーリーを買うものですから、ロゴマークって大事ですね。先日テイラーから冊子が届きました。ブランディング、ストーリー作りには感心します。流石、ボブテイラーです。あれだけの精度のギターを量産できる体制を作る見事なビジネスマン。職人気質で攻めるマーチン、ギブソンに対して機械化でアプローチするテイラー。くまおさんは量産に対するテイラーの考え方が好きです。オリジナリティにしっかりとしたストーリーが意図的に組み込まれています。日本の寺田楽器やフジゲンが素晴らしいクオリティなのにブランドとして大成できないのはこの差です。

もしも日本だったらマーチンやギブソンの個体差と言うのは、検品不足の手抜きと言い換えられると思います。それを排除する標準化がテイラーです。

現在のテイラーのポジションは本来だったら日本のYAMAHAが担っていてもおかしくなかっただろうにと残念です。

ブランディングと言うのはとても難しいけれども、とても価値があります。だからやっぱり、くまおさんはギブソンとマーチンが欲しい!

 

2020年5月追記

ついにピックガードを交換しました。SCUDのピックガードをサウンドハウスで購入。

隙間にカッターナイフを入れてゆぅ~っくり剥がしたところ、特に問題なく剥がれました。

そこに、樹脂接着剤剥がしを筆でぬりぬり。両面テープが残っている為です。

その後は溶かしてはカッターの刃でそげ起こし。

今思えば、ウレタン塗装なのでシール剥がしスプレーをかければよかったと思います・・・その方が簡単にきれいに取れた気がする・・・。

サイズはぴったりでした。フィルムを剥がして完成です。

バックのオープンバックペグも相まってD-18ヴィンテージの様な風貌になりました。カッコいいー!これでマーチンD-18欲しい病が収まると思います(笑)