ブラック企業Episode8

ブラック企業は社員のことを道具だと思っています。
その為、管理がとても厳しいです。

くまおさんの仕事は訪問販売でしたが、数字を細かく報告させられます。訪問件数、在宅件数、対話件数、アポイント件数。それらに付随したゼンリン住宅地図の印付けコピー(※訪問した家に印をつけていた)も提出義務が有ります。それらをすべて記載した上で毎日リーダーと面談をし、成績が悪いと詰められます。幸いにして、くまおさんは成績が良かったので詰められることはほぼ有りませんでした。

現場に出ているときもリーダーから定期的に電話が入ります。その電話で現在の進捗状況を報告する必要があるのです。
リーダーは基本的にアポインターがサボらない用にテリトリー内をパトロールしています。車で巡回です。

成績が悪いと夜間の営業を課されることもあります。
通常はせいぜい19時位までが訪問タイムです。一般家庭を相手にしているのでそれよりも遅くなると不審がられてアポイントが取れません。厳密に言うと暗くなる前までじゃないととても怪しいです。真っ暗な住宅街でファイル片手に一軒ずつインターホンを押す人物がいるとすればとても怪しいです。

特にクリスマスシーズンになると17時頃には真っ暗になり、温かい家の中から聞こえる笑い声に心が折れそうになります。それでも訪問販売員はインターホンを押さなければなりません。

くまおさんはまだマシだったのですが、それでも22時頃までインターホンを押していたことが有ります。事業部長から電話で詰められます。

事業部長※21時過ぎ
「くまおさん、今日アポイント何件?」
くまおさん
「ゼロ件です。」
事業部長
「あっそう。じゃあ行ってらっしゃい。」
くまおさん
「・・・・・。」

行ってらっしゃいって・・・もう夜の9時だよ・・・。こんな時間にインターホン押しても誰も出てこないよ〜。と思いながらもインターホンを押すのです。
この話を聞いて「意味がない」とか「効率が悪い」と言う人はスマートな人生を送ってきたのだろうな〜と思ってしまいます。ここでの、ブラック企業の言い分は違います。「そんな時間にインターホンを押して、出てきてくれる人はきっといい人に違いない。そういう人は押しに弱いから買ってくれる」と考えるのです。
訪問時間によってフィルタリングされていると考えるのです。・・・悔しいかなそれは事実です。

浄水器部門のメンバーたちは日付変わってから契約を取ってくるということも度々有りました。
本当の新規開発営業をやったことがある人ならくまおさんの言っていることがわかると思います。だから・・・営業なんて大嫌い!