ブラック企業Episode4

くまおさんの勤めていた会社は訪問販売会社でした。
その会社では入社するとアポインターという仕事をすることになります。アポインターは決められたエリアにパラシュート部隊のごとく、車から降ろされて、ゼンリン住宅地図を頼りに、端から順番にインターホンを押し続け、話を聞いてくれる人とのアポイントを獲得するという仕事でう。

そのアポインターとして成績が上がってくると、クローザーという客先での営業担当に昇格します。クローザーになり一定の経験を積むと、リーダーとして数名の部下をまとめるリーダーに昇格し、自分のアポインターを抱えチーム運営をするという仕組みが有りました。

くまおさんは入社3ヶ月でクローザーになり、入社半年でリーダーになりました。
これは15人いた同期の中では最短であり、先輩社員を数十人追い抜いての抜擢でした。というのも、アポインターとして成績がずば抜けてよかったため、順番から言ってくまおさんがリーダーに昇格するのが妥当であると誰もが考えていたので混乱はありませんでした。

リーダーになるとアポインターの成績がリーダーに加わるため、給料が増えます。
その為、会社内では幹部社員扱いとなっていました。

そんな中、社長を中心とした営業会議が毎月開催されます。
会社内には浄水器部門と太陽光発電部門があり、浄水器部門は他の記事でも書いたようにかなり危ない営業方法を実践していたため、度々行政指導を受けていました。お客様が消費者センター等に連絡するとそういった事態に陥ります。
また、当時はリース会社が浄水器のローンにかなり厳しくなり、基本的に浄水器のローンは取り扱わないという流れができあがっていました。
そこで、社長一同が人員の大移動を打ち出し、浄水器部門のメンバーを太陽光発電システム部門へ転籍させるという事になりました。

会社として大きな決断でも有り、太陽光発電システム部門は人数が一気に増える為てんてこ舞いに鳴ることが想定されました。
その際に社長がサラッときついことを言いました。

社長
「あのね、リーダーはこれから3ヶ月間休み無しだから。」
リーダー一同(約10名)
「・・・・・・?」

この一言で本当に休みがなくなりました。
人数が増えたためアポイントの数が増え、リーダーが訪問するお客様数も増えフル稼働を強いられたのです。
本当に休みってなくなるんだ〜と知った出来事でした。