【緊急事態宣言】仕事よりも命が大事と言い切れるのか?

零細企業から見た緊急事態宣言と仕事について書きたいと思います。

いや~きついっす。建築業界とお取引の多いくまおさんの会社は大打撃です。3月までは各社在庫で処理してくれたので何とかなったのですが、4月以降は買い控え、外出自粛が重なり売り上げ激減です。しかも無利子無担保融資は実際にはウソだし・・・(※あとで記述します)。
そんな状況のくまおさんからの報告&備忘録です。

本日は2020年4月7日です。
くまおさんは長男の中学校入学式があったので参列してきました。
政府からは4月8日0時から緊急事態宣言の効力が発動するという報道が流れ、入学式終了後には学校休校について、先生からアナウンスがありました。

先生は保護者に対して頭を下げて「こんな状況になって申し訳ございません。」と言ってくださいましたが、先生のせいではありません。頭を上げてください。

さて、仕事よりも命が大事とは言うけれども、零細企業経営者の場合、命と仕事が切り離せないことがあります。
これは、主に20代女性が発する「私と仕事どっちが大事なの?」という定番文句にとても良く似ています。

くまおさんは2019年10月に会社を設立しました。事業自体は前会社から引き継いでおり、くまおさんが入社してからは約5年、事業全体としては約10年の業歴があります。そして、事業以降の手続きが完了して、フル稼働し始めたのが2020年1月からです。武漢市封鎖が1月23日なので丁度コロナショックに被っています。

でね、零細企業経営者の考えや状況を書いてみようと思います。
まず、零細企業や中小企業にはあまりお金がありません。会社に現金を残そうとすると税務上不利になる事が多いので、現金を残さない方向に調整することが多いわけです。また、実際の統計でもほとんどの中小零細企業は赤字です。

その様な状況の中で、緊急事態宣言が発令され、「原則事業自粛」という事になると、資金ショートが一気に現実味を帯びてきます。
テレビや新聞では「無利子無担保融資」や「中小企業者営業補償」等の話が、さも決定事項の様に報道されていますが、実際には適用されない、事情が違う、そもそも決定していないと言うのが現場の実情です。

まず、無利子無担保融資に関してですが、対象が政策金融公庫融資で、且つ当初3年間(※一般的に運転資金の場合7年融資なので残4年は有利子)との事です。ですから、まず、無利子ではありません。
また、上記が適用されるのは原則として2期以上決算をしている会社、またはその他特定の条件に該当する場合であり、くまおさんの会社は対象外でした。

ですから、実際にコロナショックの影響を受けているくまおさんの会社ですが、今回の融資制度の対象外です。

現在の予測値だとくまおさんの会社は売上が大幅減少した場合約12~18か月くらいで資金が底をつきます。その為、民間金融機関(※保証協会付)等にも相談に行きました。そこで、無利子無担保融資は存在しない事が分かりました。担当者曰く、4月6日時点ではそういった融資はありませんとの事でした。

上記は実際に小規模事業者としてくまおさんが体験した事です。

そういった動きをしている中で、緊急事態宣言発令の報道が流れています。来週に控えている仕事があり、実行するか選択しなければなりません。その仕事自体は正直に言って、不要不急です。それを実行しなくても社会が機能不全に陥るタイプの仕事ではありません。

世間の流れ的にはくまおさんの仕事は「延期」という事だとは重々承知していますが、延期してしまうと売上が立たず、赤字幅が拡大することは確実です。
実際には無利子無担保融資は現時点では存在しないそうですし、仮に融資を受けたとしても連帯保証人は従来通り必要になります。ですからむやみに借り入れを増やすと倒産後の自己破産もセットになってしまいます。

おそらく、この連帯保証人の恐ろしさを世間の人はあまりご存じないと思います。
世の経営者は連帯保証人のリスクを負いながら従業員に支払う給料の為に借り入れをしています。

報道では売上補償の話も出ていますが、上記の様な経験からもあまり信用はしていませんし、あてにはしていません。
おそらく、支給には色々と制限もかかるでしょうから、言われているような補償にはまずならないでしょう。これは誰のせいでもないですし、原資は税金ですから文句を言うつもりはありません。
これらの事業リスクや天変地異も含めても経営者の道を選んだのは自分です。その代わりにリターンも大きい事は事実ですから、文句は言えません。

上記の現状があり、「売上補償をするから営業を停止して」と言われても、背に腹は代えられないので仕事をせざるを得ないというのが現実です。

テレビやメディア等で多くの有識者は「仕事よりも命の方が大事」と仰るのですが、零細企業の場合、仕事と命が切り離せないという状況が多分に存在します。
仕事を切り離してしまうとたちまち資金が無くなり、その場合自己破産が背後にちらつきます。自己破産には様々なデメリットがあります。
サラリーマンの場合は最悪「クビ」でプラスマイナスゼロすが、経営者の場合自己破産でマイナスからの再スタートです。それは避けたいと考えるのは当然です。

命があれば後でいくらでもやり直せるというのは全くその通りだと思います。
でも、やっぱりきついですし、実際にはゼロからの再スタートではなく、マイナスからの再スタートになるので、できるだけ避けたいです。

事業者としては仕事をしない事がイコールだったりするわけです。

幸いにして、くまおさんは直接的に外部者と接しなければならない仕事ではありません。
今の仕事に移ってから、出来るだけ場所や時間に影響されない様に仕事システムを構築してきました。
かなり難易度の高いと考えられている、法人新規開発営業に関してもインターネットの自動化で成果を出せています。(ステルスマーケティング含めてSEOを駆使しています。)
※簡単ではなかった。むしろ超難しかったし大変だったし、最初は成果が出なくて精神が病みそうだった。

そして、こんな状況になってしまったので、余った時間でウェブサイトの海外展開を開始しました。
少し前に、外注で当社サイトを4か国語に翻訳する見積りを取ったところ800万円かかると言われました。あくまでも翻訳だけなのでSEO対策等は別です。
そんな費用をかける余裕は零細企業にはありません。

その後、Amazonで片っ端から海外SEOの書籍を購入して一通り勉強が終わり、先日から実行開始です。
とりあえずアメリカ向けのHPが出来上がりました。大体2日位で100コンテンツくらいのページです。
Google系の対策が意味不明で、付いて行けないレベルの作業もありましたが、その辺りは走りながら考えます。
こんな感じで30か国分くらいは作ろうと思っています。
ライバルのほぼいない超ニッチマーケットなので翻訳精度が低くてもおそらくSEO上は大丈夫です。(こういった知識、感覚はアフィリエイトで独学で学びました。)
ですから、Google翻訳に頼ってサイトを多言語化します。

ちなみに上記作業は自宅PCでリモート操作も可能です。
ただ、作業スペースが狭かったり、PCスペックが落ちると作業効率が猛烈に下がるので、今後も会社のデスクで行おうと思います。
会社のデスクは4画面あり、だいぶ時間が短縮されます。

こんな状況があと半年続けば廃業が視野に入ってきます・・・。そうならない事を祈ります。